ロビぐだ♀萌茶・作品用 5540


1:アナコンダ :

2020/05/24 (Sun) 00:29:05

「海だーーーーー!!!!」
 きらきらと光る水面!白い砂浜!照りつける太陽!サイコー!夏ってサイコー!!
 みんなと一緒にだっだと走りながらジャンプして海に飛び込……もうとした時にむんずと首根っこを掴まれた。
「にゃ!?」
「こーら、ちゃんと準備体操してくださいや」
「う」
 忘れてた。準備運動は大事……でもしゅんとするわたしをよそに牛若丸がざぶん!と飛び込んでいった。
「えーっ!?」
「アイツらはサーヴァント、オタクは人間。お分かりで?」
「……分かったよう」
 頬をぷぅと膨らませてわたしを掴む彼--ロビンを見上げる。綺麗な金茶色の髪の毛が夏の日差しに当てられてきらきら光っていた。

「ほらちゃんと伸ばして」
「……はぁい」
 口酸っぱくして言う様子はまるで保護者だ。やってることはライフセーバーのお兄さん。でも、現実の海にこんな人がいたらみんなほっとかないだろうな。カッコ良すぎるもん。
「よし、こんなもんかね。ほれ行ってもいいですよ」
「……ロビンは?」
「そうっすねぇ、ナンパでも行ってきますかね」
 口の端をくい、と上げてうっすらと微笑むハンサム。ずきりと胸が痛んだけど、しょうがないよなぁ、って諦める自分もいた。
 今日だって、いつもの礼装じゃなくて新しい水着おろしたの。フリフリでかわいいミントグリーンで、髪の毛だってすぐに崩れちゃうのに編み込み作って。アクセサリーはマリーちゃんが貸してくれた。華奢なブレスはやっぱりわたしにはちょっと大人過ぎたんだろうか。
「そ、っ、かぁ」
「オタクは?」
「……砂場でお城でも作ろうかな」
「はい、そんならツバの広い帽子被って、日焼けしないようにこれ羽織って」
 どこから出したのか帽子をかぶせられ、彼のパーカーをかけられる。かわいくしたところ全部隠れちゃった。それでもふわりと彼の匂いが自分のすぐそばから香って、それだけでも嬉しい。
「パーカー、いいの?」
「いいっすよ、別に」
 上半身裸で、さらりと前髪をかき上げる。鍛え抜かれた筋肉、きらりと光るエメラルドグリーンの瞳、整いまくった甘い顔面。うっ、と思わずくらりとくる。ほんとうに、すごくかっこよくて、かっこよすぎてきっとわたしとは釣り合わなくて、やっぱり、ちょっと、辛い。

 海、楽しみにしてたのになぁ。新しい水着着て、可愛いですよ、なんて言われるのちょっと期待してたのに。あーあ。ほんと、からまわりだ。

「……やっぱ海入ってくる!これ返すねありがと!」
 早口で言って、ロビンに帽子とパーカーを押しつける。彼がそばにいないのに、彼の匂いがするものだけあったってつらすぎるもん。
 砂浜で足が焼けそう。痛い。でも海に飛び込んだらきっと全部、どうでもよくなっちゃう。だから、いいの。
 周りなんて何も見ずにざぶん!と飛び込んだ。ぶくぶくとしばらく潜って、潜って、頭がちょっぴり冷えた時ようやく浮かび上がる。と、全然知らない人たちがいた。
「わひゃっ!?す、すみません!全然見てなくて!」
「いーよいーよ。海だし?夏だし?おねーさん一人?可愛いしよかったら一緒に遊ぶ?」
「え」
 きょとん、として声をかけてくれたお兄さんたちを見つめる。いかにも普通の、わたしよりちょっと年上の人たち。え?わたし今、ナンパされてる?そうなの?わ、わー!ナンパってされたことないから!え、え、えーー!?!?
「あわわ」
「そんな慌てなくても、かーわい」
「ひぇえ……」
 か、わ、い、い!?わたしが!?マシュじゃなくて!?あっマシュ今いないのか!わーーー!!!

「すんません、これ、オレのなんで」

 ざぶん!と隣で水しぶきが上がったと思った途端、そんな言葉が降ってくる。驚いて見上げると、頭の先まで濡れたロビンがぐいと前髪をかきあげていた。

「一人にして悪かったな、立香。そんじゃそういうことで」
 ひょいと抱き抱えられ、海の中だというのに軽々とロビンはわたしを砂浜の方へと連れて行く。ビーチパラソルの下のレジャーシートに座らされると、もう一度パーカーを渡してきた。

「え?」
「やっぱこれ着といて下さいや」
「へ?」
「虫除け」
「むし?」
「……目に毒なんで」
「ええ!?」
 そんなに、酷いかな!?ちょっと涙目になりながら自分を見下ろしたけれど、ロビンは何も言わず仏頂面でこちらを見ているだけだ。うう…なんか怖いよぉ……。というか、あれ。
「ロビン、ナンパは?」
「……鈍くて嫌になりますわ」
「?」
「いいから早く着てください」
 強い口調で言われて、てきぱきと着せられる。大きなロビンのパーカーにすっぽり入ってしまって、何が何やらわからなくて彼を見上げた。
「ろびん?」
「ぐっ、かわ……」
「?」
「ナンデモナイッス」
「??」
「あーもう!いいから!海に入るなら次はオレも一緒!いいっすね!」
「う、うん!」
 頷くと、そこでようやく彼は満足そうに笑った。さっき濡れたから少し髪の毛がオールバックみたいなってて、笑うといつもと違って二割増でカッコよく見える。うう、ずるい。かっこいい、やっぱり好き。
 ふわふわした気持ちがあっという間に膨れ上がって、ぱちんと弾ける。その気持ちのままふにゃりと笑えば、「ロビンと一緒にいたかったからうれしいな」なんてすごく素直に言えてしまった。
 彼はただ、「へいへいそーですか」って言いながらそっぽを向いちゃったけれど、それでもいいの。

「ふへ。海、楽しいね」
「……っ、マジで、かわ……っ」
「え?」
「あー!ほれさっさと行きますよ!」

 少し強引に手を引いてくれる、この人がわたしは、やっぱり好きだ。


***

「童貞だったかしらアイツ」
「本命童貞ってやつでつよオルタ殿」
「なる。納得したわ。ダッッッッサ」
「せめて『可愛い』ぐらいはフルで言えるようにならなきゃダメでごじゃるな~」

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